厳戒態勢の中、夢をかなえたニューヨーク摩天楼からの夜景の輝き

2001年9月11日に起こった同時多発テロ、そのわずか2年後の2003年の冬、私はニューヨークに
個展の関係で行くことになりました。

世の中がまだテロの影響で騒然としている真っ最中でした。
空港では靴も脱がされ、軍人の人が炭疽菌の検査のためパタパタとしている頃でした。
スーツケースの中身も何度も何度も開けて調べるため、鍵をかけることはできなかった時でした。

この当時は一眼のデジタルカメラの出始めで気に入ったのがなかったので、私はフィルムカメラを数台
とフィルム、三脚を持って行こうとしたのですが、ことごとく検査にひかかり大変な思いをしました。
ニューヨークについてからも大変でした。

街中で三脚を立ててビル群を撮ろうとすると、警官がすぐに飛んで来て注意もしくは連行されました。
そんな中どうしても実現したかったのが、ニューヨークの摩天楼の夜景を見て、撮影することでした。

443.2m、東京タワーよりもずっと高いエンパイア・ステート・ビルディングに登ってその夢を実現しよう
と勇んでそのビルを探していきました。
ミーハーな話ですが、映画キングコングでこのビルによじ登っていくのを見て、いつか自分も行きたいと
ずっと思っていた場所だったのです。

超有名な場所とあって現地はたくさんの人がすでにいました。
(でもテロの影響で少なかったと思いますが・・。)
自分の順番がきた時にびっくり、三脚やカバンは取り上げられ、カメラも中を開けて全部見せる必要が
あったのです。
それよりも三脚を取り上げられると手持ちでは夜景が取れないのでどうしようと思いました。

でもとりあえず、屋外展望台のある86階に行くことにしました。
寒―い! でもすごーい!がその夜景を見た瞬間の感想です。
その憧れの絶景をしばし体感した後、さてどうやって撮影しようかということに頭をフル回転しました。
撮るならば一生後悔しないように撮りたい!そのためには・・・。

結論として、首に巻いていたマフラーを手すりの上に置き、首から下げたカメラを落ちないようにその
ままその上に置き、マフラーの厚みで角度を調整し、中腰で風が止む瞬間を震えながら待ち、何度も
何度も露出を変えて撮影しました。その結果の一枚がこの作品です。

フィルム撮影なのできちんと撮れたかどうかは帰国するまでわかりません。
帰国途中の税関のX線でだめにならないように、手検査を要求したり、交渉は難航しましたが、このよう
に自分が見た憧れの絶景が残ったことが今でも嬉しいです。

★もしあなたが行くならば
文中にも書きましたが、今のデジタルカメラならばISO感度を上げてもノイズが少ないものも多いです。
そうすると手持ちでも撮ることができます。それはコンパクトカメラでも2年以内に購入した3~4万円
くらいのものならば同じです。
コンパクトカメラの場合は30枚まとめて撮影してブレていない部分を1枚にしてくれるCASIOさんの
カメラ、HS夜景モードなどの機能を使うことをお薦めします。
私の作品が多数掲載されているEXILIM GALLERYの夜景作品をご覧ください。納得できると思います。
http://www.exilim.com/ja/gallery/

★道中与太話
上記の話の翌日、夕方にヘリコプターに乗りました。この時は揺れるのが前提なのでISO感度の高いフィ
ルムを使って撮影しました。
でもガラス越しだし少々無理があり、自分の思ったような画質では撮影できませんでした。今の時代
ならばヘリコプターからの絶景も残せるでしょうね。