生まれて初めての海外の撮影会の地

 

まだプロになる前、フィルムの時代で写真を撮るのが楽しくて、スケールの大きな世界を撮影したいと考えていた時に、昔から水墨画の世界として有名な中国の桂林の旅番組を見て、一度行きたかった場所だ!とTVに向かって叫んだ自分がいたのを覚えています。
その時に偶然写真仲間に中国人の方がいて相談したら、桂林に友達がいるので快く他の人たちも誘って行きましょうとなりました。
言いだした手前皆さんの旅のお世話を中国人の方の協力を得て、現地の行きたいところ、やりたいことなど参加者の皆さんのご意見をまとめてたった4泊5日ではありますが全精力をつぎ込んで手配をした記憶があります。

私が桂林で撮影したいと思っていたのは、山々に囲まれた場所での鵜飼漁の風景でした。
朝日が昇る直前から直後の朝焼けの時間帯にその夢は叶えてきました。
でもそれ以上に初めての海外撮影会の地は私に様々なことを学ばせてくれました。
まず飛行機で到着まえに見た田んぼアートの美しさ、棚田の美しさです。
この旅以降私は棚田に魅せられて日本中、世界中の棚田を訪れることになりました。
桂林でも最終日に龍勝棚田という素晴らしいところに連れて行ってもらいました。
中国ではこの後にまだ当時全然有名ではなかった元陽の棚田にも春と秋に何度も行くことになりました。
海外ではフィリピンの世界遺産の棚田コルディレラにも2回この後に行きました。

見るだけでなく食べるものに関しても感動したのが、米粉です。
初めて中国で食べた朝ごはんが米粉だったのですが、当時たった0.5円でこの旨さはなんなんだと感動しました。
うどんと思って食べていたのが米粉で、出汁は鶏を丸ごと入れた強烈なコクと旨味があり、日本の肉がついていないガラで炊きだしたものとの違いに驚きました。
辛味にも旨味があることを知ったのはこの時でした。
ただ数年後に上海を訪れた際に「桂林米粉」というチェーン店がたくさんあったのを見て米粉の美味しい場所だったのだと後から認識しました。
ジャスミン茶の美味しさも学びました。それと同時に中国発祥のお茶の文化を知り、茶馬古道の存在を知り、のちに実際に最古のお茶の木を見に行き、茶馬古道の歴史を探求しに何度か中国を訪れることにもなりました。

最近ではつい数年前に台湾の天空の茶畑まで撮影に行ってきました。
自分が米や茶など食べ物の風景や文化に興味を持っていたことを知ることができたのは桂林を撮影しに行ったからです。
自分探しがこの時にできた場所と言っても過言ではないと今は感じています。

自分が憧れて訪れた場所から自分が好きなことが見つかり、世界中の見たいもの、体感したいものを撮影しに行くきっかけができ、それを実行するために人生を費やせたこと、とても幸せに感じています。当時はまだプロにはなっていなくて、まだフィルムの時代だったので撮影できた作品には限界がたくさんあったことだけが残念に思えます。
でも時代が進み自然を含めて人の営みが進化し、たくさんのものが無くなり変わる中で少しでも早く行きたいところに行くことができ、作品が残ったことを誇りに思っています。

★もしあなたがいくならば
物事に対する考え方、常識論をすべて書き換えるつもりで行くべき場所だと思います。
日本では・・はなしです。
郷に入れば郷に従えです。日本が正しいのではなく、日本だから正しいのだと思って、中国では中国だから正しいのだと考えを改めて訪れるべき国です。
でも同じアジア人なので、以心伝心で伝わることが多いことも驚くと思います。

★道中与太話
衛生面ではやはり気を付けた方がいいので必ずウェットチィッシュを持って行き、トイレから出ても、大きなきれいなホテルに泊まっても水で手を洗うのではなく、持参したウェットチィッシュで手を拭くべきです。食事の油の違いと同様、衛生面の免疫機構が違っているかもしれないと思って慎重に旅をした方が安全です。
氷入りのジュースは要注意です。
コップなども使い捨てをお薦めします。