驚愕の規模とその美しさ、中国の元陽の棚田

2000年ごろより中国各地へ撮影に出かけていました。
そんな折、私の大好きな棚田ですごいところがあると聞きつけ写真を見せてもらって
思わずオ-と声を上げてしまったところが元陽です。
でも当時はまだ現地まで道路が整備されておらず空港のある昆明から約350kmある悪路を
15時間くらいかけてゆっくりと行っていました。
ひどい所は時速20km以上は出せない震度6ぐらいバスの中で揺れるような状態でした。
でも現地に行き、現場を見た時の衝撃は今でも忘れられません。
これは本当に人間が作り出したものなのか?
一体この数とこの高低差のある棚田にどうやって稲を植えて刈り取るというのだ!
中国人は食べるためにとんでもない芸術作品を作る民族だと思いました。

とにかく目の前に果てしなく広がる山頂までびっしりの棚田に朝日や夕日が当たり
色を染める光景を見たら自分の存在の小ささに気づきます。
一体どれほどの時間をかけてここまですごい棚田をつくりあげたのだろか?
どうやって維持しているのだろうか?
その光景の凄さに頭が疑問だらけになりました。
今はその疑問に即座に応えてくれるネット環境がありますが、当時は帰国して調べるまでわからなかったし、
調べても本当かどうか知りたいと思い同年の秋に行き本当に収穫しているのか確かめに行きました。
その際にガイドとして現地で唯一の写真家と名乗る人に出会え、
本当かうそかどうかわからない話をいろいろと聞きました。
その人の話では、フランスが衛星を使い中国を見ていたらピカピカと光る大地があることに気付き、
探検隊と偽って現地に調査隊員を送り込んだとのこと。
その時にその探検隊のお世話をしたのがガイドさんのお爺さんにあたるらしかったです。
お爺さんが引き連れたフランス人たちは棚田の凄さに驚き、ある人は帰国後本を出したそうです。
また何度もその後に人を引き連れてきたそうです。

私が初めて言った際にはまともな宿泊施設はなく、一泊300円くらいのトイレにドアなし
ブタが下でまっているような宿泊所でしたが、行くたびに町が変わっていきました。
その理由は数年後に高速道路が完備されたからです。
わずか4時間ぐらいで昆明から行くことが可能となったからです。
中国の旅行社でも知らなかった場所が今では一大観光地になり3つ星のホテルまで今はあります。
棚田を見るための展望台などもできてしまっています。
当時は稲を育てても1日1円程度にしかならなかった現地のハニ族たちにとってはいいのか悪いのかですが、
稲を育てる若者が減ってしまったのは事実でしょう。
2013年に世界遺産に登録されたので、世界的にも有名になりこれからどうなるのか心配なところです。

★もしあなたが行くのなら
元陽の街中を歩くと現地の民族衣装に目が行きます。
とてもカラフルでかわいいものがあります。
年齢により違うし、民族によっても違います。
私は本物が欲しくて現地で仕立ててもらって買って帰りました。

★道中与太話
歴史書や本などで読んで知っていた強制的に小さい足にした纏足の女性(おばあさん)が道中の建水にいました。
清の時代に禁止令がでてなくなったはず?の足を見せてもらい違う意味で感動しました。